2015/03/03

第四話 龍太さんの気づき 「闘わない」ことへの肯定と「カメレオン」

メンタリング・インタビュー

さて、前回までは、インタビュアーからの観察や気づきを主に述べてきました。

では、当の「龍太さん」は、このインタビューでいったいどんな「気づき」に到達されたのでしょうか?

「『闘わない』ことを肯定できたこと」。龍太さんにとっての一番の気づき。それは、意外にもこんな言葉で現わされました。

実は、私たちのインタビューでは一貫してポジティブなことをお話して頂き、基本的に、ネガティブなこと、例えばコンプレックスやうしろめたさのようなものには、正面からは触れることはあまりありません。(その理由は別途。)

ただ、龍太さんの中では「闘わない」=「逃げる」(そう言われたこともあったのかもしれません)ことに対する、どこか後ろめたさのようなものが、長い間心に引っかかっていたのです。「転園・転校」を繰り返した龍太少年は、新しい土地に行ったときに、自己防衛本能として「同じ土俵で闘わない」ことを覚えます。それが、どこかで、自分に対して「潔くない」のではないかという思いが、心の奥に沈殿物のように残っていたようです。

なので、彼が最初に感想として漏らしてくださった「『闘わない』ことを肯定できた」という言葉...その「気づき」に達して頂けたことだけでも、インタビュアーとして素直によかったと思いました。

えてして男性は、「闘う」ことが「男らしい」ということを植え付けられてきた可能性があり、龍太さんがその呪縛から解き放たれたことはとても大きい。「闘わない」と「逃げる」「負ける」は、全く同義ではないことを、明確に意識して堂々と行動していただけるし、もし、これまでに「闘わない」ことへのうしろめたさや躊躇が阻んでいた行動があるとすれば、それは全く無用です。より、気持ちも行動も軽快になってくださることと思います。

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そして、インタビューの終盤に彼が言語化した言葉、それが、「カメレオン」。(私は、その時あまりにボキャブラリ―が貧困で、別の言葉を発してしまいましたが、この言葉に、置き換えさせて頂きます。)

「カメレオン」。そのココロは「引き寄せて、掴み取る」力です。特に、自分の好きなこと、興味の持てること、また、龍太さんと一緒に何かをできて楽しいと思ってくれる人が周りにやってきて(自然と引き寄せて)、掴み取る。龍太さんは、自分が掴みたいもの、掴むと面白いもの、相乗効果を生むものに対する感性がとても研ぎ澄まされた方だと思いました。

 

標題の図は、龍太さんが、ご自身でまとめて下さった「気づき」です。自分のオリジン、現在の「価値観」や「モチベーションの源泉」、そして、これからも「大切にしたいこと」や「意識しておくとよいこと」がとてもすっきりされたようで、上手く整理をしてくださいました。

こうして、インタビューを機に、ご自身で気づいたこと、自ら言語化したことをまとめておくことは、とても良いことですね。その相関関係もよくわかりますし、自分の行動や自信の「拠りどころ」にもなり、折に触れて手に取って振り返るのにも、とても良いと思います。

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4回の特集として「インタビューによるメンタリング 中村龍太さん編」をまとめてきました。

龍太さんは、インタビューに当たり、事前に自分の過去を振り返ったり将来への思いを馳せたりし、どんなことを話そうかと準備をしてこの日を迎えてくださったようです。
そのようにこの場を大切にして頂いたこともさることながら、私の直球や(あまりないのですが)変化球を、ひとつひとつ真摯に受け留め、思いを巡らせながら丁寧に誠実に答えて下さったこと、そしてこの記事の掲載に快く応じてくださったことに、改めて、御礼を申し上げます。

また、繰り返しになりますが、この場を設定して下さった関係者の皆様にも、素敵な場をご用意くださり、重ねてありがとうございました。

追記:

折しも、全くの偶然ですが、龍太さんの記事が2月27日日経新聞の「働き方ーnext-」欄に掲載されました。「龍太さんは、いったいどこへ行くのか?」まだそこは解明できていませんが、間違いなく「誰もやったことがない」道を、しなやかに、そして、やすやすとまた次の壁を乗り越えて行かれるでしょう。さて、次は、どんな「隣の畑」を耕しておられるでしょうか? 龍太さんの行く末から、目が離せません。

図1

 

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