2015/09/30

期待値の擦り合わせ

インターンシップ

前回に引き続き、在宅療養支援診療所と訪問看護ステーションを訪問し、看護師の方々にインタビューさせて頂いたときの学びについてです。

在宅療養支援診療所とは、24時間担当の医師や看護師と連絡することのできる体制にある診療所で、在宅医療を推進するため2006年から診療報酬上の制度として新設されました。例えば、何らかの病気で入院後、自宅で療養することが決まった場合に、往診する医師が決まっていなければ、かかりつけ医などに往診を依頼することになります。その選択肢の一つとして在宅療養支援診療所があります。
私が訪問した在宅療養支援診療所では、訪問診療を始める前に看護師が訪問し、患者さんの要望と診療所が提供する医療との擦り合わせを行っているのだそうです。この擦り合わせを行わないまま診療を始めると患者さんの期待値と実際に提供される医療とにギャップが生じてしまうからです。

これは訪問医療に限った話ではなく、病院をはじめとする他の医療機関でもやるべきことだと思いました。例えば、病院に入院し何らかの治療を受けるとき、医師から治療に関する説明は受けることがありますが、その他の説明は詳細には行われることは多くありません。患者さんがしてほしいこと、看護師ができること、すること、しないこと、他の医療スタッフができること、すること・・・などの擦り合わせは詳細には行われないのです。そのため途中で齟齬が生じ双方に不満が出るような結果になる可能性があります。

2015-08-17 17.15.19

上記のような擦り合わせを最初に行うことで、患者さんと医療者の双方が満足した医療の提供が成立するのだと思いますが、実際にはこの擦り合わせをほとんどの医療現場では実践できていないように感じます。その要因の一つに看護師自身が提供するケアの範囲を決めきれていないことが挙げられると思います。その結果、看護師一人ひとりや病棟、病院によって患者さんへの行為の範囲が異なってしまい、これが患者さんを混乱させることにつながっているのだと考えます(あの看護師はしてくれたのにこの看護師はしてくれない、とか)。少なくとも病棟単位ででも看護師が行うべきことを定め、患者との期待値の擦り合わせをする必要があると思いました。これは、ゆくゆく「業務の可視化」や、他業界には普通に行われている「職務記述の明確化」「人財像の定義」に繋がっていくと思います。

【今回の気づきポイント】
・ 患者さんと医療者との期待値の擦り合わせによって、医療の満足度を高めることができる。それらは、業務の可視化や、人財像の定義などの施策ともつながるものである。

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