2015/09/30

制度運用と組織文化2

インターンシップ

(株)TM Futureでインターンシップをさせて頂いていた冨田耕平です。大阪大学大学院博士課程で「看護学」を研究し、看護現場における人財や組織を多様な業界から学ぶため、竹内さんにインターンシップをお願い致しました。

今回は、竹内さんのご友人の経営される、在宅療養支援診療所と訪問看護ステーションを訪問し、看護師の方々にインタビューさせて頂きました。在宅医療を支える診療所やステーションを初めて見学させて頂きました。

前回の製造業企業D社の人事部長へのインタビューでは、良い制度が整っていたとしても正しく運用されていなければ意味をなさず、また制度が実効性があるためには組織文化の醸成が必要であるということを学びました。今回の訪問では、組織文化の醸成があるからこそ、制度が活用できることを実感したので、そのことについて書きたいと思います。

多くの医療機関で看護師が不足していると言われていますが、病院だけでなく地域医療を支える訪問看護ステーションなどでも看護師の人財は充足しているとはいえません。多くの看護師が就業後何らかの理由で転職を繰り返したり、離職したりします。また離職した看護師の中でもその後医療に携わっていない、いわゆる潜在看護師は55万人にのぼるといわれています。人財を確保するためには離職を防いだり、潜在看護師の医療現場への復帰を促す必要があります。そのために必要な施策の一つが働きやすい環境を整えることや多様な働き方を整備することではないかと考えています。しかし、制度の整備だけでは十分ではありません。それを自由に活用できる組織文化が同時に必要なのです。

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私が訪問した訪問看護ステーションに勤務する看護師の方々は全員が子育て中の女性でした。彼女らの要望を受け基本的な勤務時間を変更することや、子供の急病等による早退や休暇などの運用が実践されており、働く看護師に合わせた制度の変更や、柔軟な活用が十分に行われていると感じました.その要因の一つは全員が子育て中の女性であるというところにあったと思います。それぞれの看護師が子育て中であるという同じような家庭の状況にあり、「困ったときはお互い様」のように、大変さや状況を共有できる文化が醸成されていたのだと思います。
このように全員が同じ背景を共有できるというのは稀有な環境だと思います。むしろ、重要なポイントは制度を自由に活用出来るという文化があったということです。ここではその一つの例として、互いの状況を理解し受け入れられる組織文化があったのです。

病院の看護師が自由な働き方にならないことや休暇を取得しにくい状況にあるのは、人財が不足していることに加えて、このような組織文化が醸成されていないことが一つの要因だと思いました。制度の整備に合わせて、それを実際に活用していくためには、医療現場の組織文化も合わせて変化させていく必要があると考えます。

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