インターンシップをさせて頂いていた冨田耕平です。
今回も引き続き、製造業企業D社の人事部長へのインタビューから得た学びをご紹介したいと思います。今回のテーマは「組織の制度運用と組織文化の変化」についてです。
組織に良い制度があったり、新たに作ったとしても、それがすぐに実効性のあるものになるかといえばそうではありません。制度運用の質が重要になります。
例えば、人財評価について考えてみます。評価は給与に直結するものですから、評価の妥当性と各々の納得性が必要になってきます。しかし、適正に評価を行うためにその制度を整備するだけでは十分ではないのです。整備された制度の上に、質の高い運用が必要になるのです。具体的には、制度の周知であり、制度運用者のトレーニングであり、制度運用の質を担保していくための制度そのものへのフィードバックも必要になってきます。制度単体で実効性が保証されるわけではなく、質の高い運用を含めて初めて「良い制度」ができることになります。
また、質の高い運用に加えて、制度が実効性のあるものになるためには組織文化も醸成される必要があります。例えば、フレックスタイムや育児休暇が制度としてあったとしても、それを実用できるような組織文化がなければ誰も活用することができません。育児休暇を取得する人に周囲がネガティブな反応を示すような組織文化では、制度を活用する人がいなくなってしまいます。そのため、トップが率先して活用することや、制度の実用に関してネガティブな反応を示さないこと、制度に関するフィールドバックができる環境を整えながら、時間をかけて制度を根付かせる文化を醸成していくことが必要です。
しかし、新たな組織文化の醸成のように、組織文化を変革させようとするとき、多くのメンバーが最初は自分ごとにできず、多くの場合抵抗感が生まれてしまいます。それでも根気強く丁寧に説明を続けることなどの努力により、変化はより良いフェーズに移行するためにあるのだ、ということが徐々にメンバーに伝わっていきます。時間の経過とともに変化も悪くないと感じるメンバーも増え、それが波及し多くのメンバーが順応していきます。ところが、人によっては変化の必要性を頭で理解しながらも感情的に受容できないということがあります。組織文化の変革で重要なのは、この受容できないメンバーへの対応なのです。特に彼らにはケアが必要であり、重点的にサポートしていくことで新たな組織文化が醸成されていきます。
【今回の気づきポイント】
・ 良い制度を実効性のあるものにするためには、質の高い運用と制度を根付かせるための組織文化が必要である。
・ 組織文化を変化させ新たな文化を醸成するとき、頭では理解しながらも感情的に受容できないメンバーへのケアを重点的に行うことが、組織文化醸成の鍵となる。