2015/05/13

「好き」を仕事にする  義父の双眼鏡

あらためて「シゴト」や「働く」ということ

「好き」を仕事にする。よく議論に乗る話題です。

「好きを仕事にできますか?」仕事柄、よく訊かれます。 私の答えは、いつも「YES」です。

それは何故でしょうか? このコラムでも、少しずつお話していきたいと思います。

好きなことだけやって食べて行けるのか?と言われれば、その「好き」の部類にもよりますし、趣味としての「好き」というと、また非常に難度が高いようにも聞こえます。

ある方が、facebookで、それは「理念」ではないかとおっしゃっていました。自分の信じるところ、やりたいこと、どうしても実現したい社会・・・。仕事における「好き」とは「理念」。このイメージは、とても理解しやすいように思います。(趣味の「好き」とも明確に区別ができます。)

自身の「理念」に正直に、やりたいこと、向かうべきことに、取り組むことが「仕事」になり、それで「稼げる」こと。稼げるとは、そのための「腕」(スキルや技術や経験)を持ち、相手がその価値を認めてくれて、必要とされ、対価を払ってくれる。「好き」を仕事にするとは、常にその両輪ではないかと。

両者のバランスは、人によっても異なり、また、時間軸によっても変わってきますが、そこに個々人の納得感があれば、人は「好き」を仕事にすることができるのではないかと思うのです。

もちろん「好き」が常に100%でないこともあるし、「好き」の周囲には、当然ながら使命感や責任が伴います。「稼げる」だけのスキルや経験を身に着けるには時間も要しますし、当然ながら競争もある。最初から「稼げる」わけではないでしょうし、ある時は稼いだお金を次の投資に回すこともあるでしょう。だから、納得感や戦略性も、もちろん必要です。

ただ「好き」を仕事にするために、「How」 は無数にあるけれど、やはり「Why」「What」が大事だと。それがぶれないこと。そうすれば「理念」の実現に向けてまい進し「稼ぐ」力を蓄えていくことができ、その好循環を創造することができる・・・だから、「好きを仕事にできますか?」に、私はいつも「YES」と答えます。

ときに、それを人に話すときには、その人の一番の「持ち味」を仕事にするいう言い方をします。

持ち味には、「好き」「理念」のようなその人の思考の特徴といった「持ち味」も含みますし、「スキル」「経験」のような、その人の「得意」といった「持ち味」も含みます。

 

話が少し飛躍しますが、私は、今春、石川県能登に住む義父を、癌で亡くしました。巡視艇に乗っていたという義父と仕事の話をしたことはありませんでしたが、義父は、リタイヤ後も、いつも実家の窓から、道路を挟んだ目の前の海を観ていました。その眼は、ただ私たちが「海を眺める」とは確実に違う独特の眼つきだといつも感じていました。

私たちが訃報を受けて駆け付けた日、義父が使っていた双眼鏡が、その時のままに、窓辺に残されていました。

きっと、義父は「好き」を仕事にしていたのでしょう。ただ単純に海が好きで、船が好きなのはよくわかりましたが、義父にはどんな使命感や責任感、楽しさや喜びがあったのか、どんな「why」があり「what」があったのか、そしてどんなスキルや経験を積んでいったのか・・・。きっと嬉しそうに、得意そうに話してくれたのではないかと想像を巡らせながら、一度でも「話を聴かせて」といえばよかったと、思いました。

「好き」を仕事にする。

もっと、深堀りすべきテーマではありますが、今日は、ここまでとします。

 

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