2018/04/17

『平昌冬季パラリンピック報告会』に参加させていただきました!

スポーツ・バスケットボール・Bリーグ

去る4月17日、縁あって「平昌パラリンピック報告会」に参加させていただきました。題して「【現役パラアスリートも参加!】あと2年、東京2020パラリンピックに向けていま何をすべきか、みんなで考える」

登壇者は、パラスポーツカメラマンの「阿部謙一郎」さん、パラアイスホッケー日本代表の「上原大祐」さん、トライアスロン・バイアスロン・クロスカントリースキーのパラリンピアン「佐藤圭一」選手、(パラスノーボードを引退し、)パラアスリートを名乗る「成田緑夢」選手、車椅子ダンサーの「神原健太」さん、立教大学大学院でスポーツとメディアの社会学を研究されている「中山健次郎」さん。

いつも思うことですが、パラスポーツやパラアスリートは、まだまだ多くの人に知られておらず、メディアの取り上げ方も、まだまだ限定的です。今冬開催された、平昌冬季オリンピックは、フィギュアスケート、スピードスケート、カーリング、スキージャンプなどのトップ選手の活躍やメダル獲得が連日取り上げられ、冬季大会で史上最高の13個のメダル獲得に日本中が沸き返り、閉幕後も各地で報告会やお祝いパレードなどのイベントで賑わいました。

しかしながら、パラリンピックの中継は、ほぼNHK-BS(一部、総合やEテレ)という実態で(NHKが独占権を獲得していたのでそれはそういうことなのですが)世界で9位のメダル獲得数(金3、銀4、銅3の10個)にも拘らず、新聞、インタネット、TVなどのメディアでの露出は圧倒的に少ないのが、いかにも対照的で残念な思いでした。(私自身は、メダル至上主義的な考えはありませんが、比較の意味で、メダル獲得数をみても、遜色はありません。) 2020年を2年後に控えた今このタイミングでも、この差は、由々しきことだと個人的には感じています。

この日のどの登壇者からも「もっとパラスポーツを知ってほしい、パラアスリートにも注目や応援をしてほしい。」そういう願いがひしひしと伝わってきました。このような機会を通して、情報発信や意見表明をすること、自らの声でそれらを伝え、文字通り全身全霊でその意味や意義を訴えておられ、実際にこの目で見た彼らの姿や、この耳で聞いた彼らの生の声は、私の心を揺さぶりました。そして、「日本は、私たちは、何をすべきか?」と深く問いかけていました。

「2020を迎える私たちは、何をすべきなのか? その先のパラスポーツは? そもそもパラスポーツの意義は?」

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「上原大祐」さんのプレゼンでは、「強化より、まずは、普及・育てるからしなければならない。」スポーツ競技団体のより長期的な視点でのアスリート育成について問題提起されていました。また、平昌での経験から、迎えられる選手の立場としてどんなことが素直に嬉しいか、モチベーションにつながるかを、話してくださいました。私たちは「こんにちは」の一言を多言語で言えることから始めればよい。そしてまず「選手をチアアップし、選手や好プレイに心から声援を送る」。そのために、はしゃぐ(≒声援を送る、盛り上げる)「ボランティア」があってもよいのではないかと、提案されていました。上原さんは、2017年から、アスリートがオフザコート(競技場外)でも社会とつながり活躍できる仕組みを広げ、アスリートと社会貢献を身近にするプロジェクト「HEROs」のアンバサダーにも就任され、中田英寿さんや松井秀樹さん、Bリーグの田臥勇太選手らと共に活動をされています。

元々ハーフパイプの選手(世界ジュニア優勝)だった「成田緑夢」選手は、練習中の怪我で障がいを負い、その後に懸命のリハビリを積みパラアスリートとしてスノーボードと陸上走高跳びに挑戦しました。(スノーボードクロスで銅、バンクドスラロームで金メダルの)2つのメダルを獲得した平昌パラリンピック後はパラスノーボード引退を表明、東京2020に向け、アジア人初のパラ・オリ両大会出場を目指しています。緑夢選手曰く、「パラスポーツの魅力は、一人ひとりのアスリートにストーリがあること。オリンピックアスリートは五輪が目的である人が多いが、パラリンピックアスリートは五輪がツールである人が多い。けがをしたことでアスリートで終わりではないことを伝えたい。」自ら身をもって実証し、様々なスポーツに挑む彼ならではの説得力と、話の端々に、研ぎ澄まされた感性を感じました。

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この日の異色は、車椅子ダンサーの「かんばらけんた」さん。私自身は、恥ずかしながら、かんばらさんのことも知らなかったし、このようなパフォーマンスの世界があることも知りませんでした。ましてや、彼らが「リオ」の閉会式でパフォーマンスされたことも認識にありませんでした。(メディアは取り上げていたのでしょうか?)確かに、かんばらさんのおっしゃるように、「オリ・パラ」は、「文化イベント」でもあります。誰もが、開会式や閉会式のパフォーマンスの質の高さに目を奪われた経験があるでしょう。その芸術性や、美しさ、そこでパフォーマンスするパフォーマーの(競技にも負けない)人々に感動を与える力にも、もっとフォーカスすべきだと改めて思いました。ましてや、パラパフォーマンスについても、もっといろいろな活躍の場があり、メディアへの露出も、加速してほしいと、そして2020がそのきっかけにもなれば、より「文化イベント」としての意義もあるのではないかと感じました。

報告会の終了後の懇親会では、時間が短かったのもあり、じっくりお話しができたのは、上原さんとかんばらさんだけでしたが、さらに、色々と質問をさせて頂き、快く答えてくださいました。また、かんばらさんは、座って話をしていたあと、「竹内さん、そのまま立ってみて」とおっしゃって、ひゅるりと身をかわし、こんな美しい倒立姿で、写真撮影をしてくださいました。

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「2020を迎える私たちは、何をすべきなのか? その先のパラスポーツは? そもそもパラスポーツの意義とは?」

たくさんのヒントや答えを頂きました。

大きく捉えると、まずは一市民として、オリもパラもスポーツのことをより「知る」「観る」「応援する」「より盛り上げるには?を考えながら応援する」。それは誰でもできることであり、そのことで2020の機会を楽しく活かすことができ、かつ、内外のアスリートをエンカレッジし、そのことで結果としてよいプレイを観ることができるはずです。そのために、関わるステークホルダー(産・官・学・スポーツ団体)は、今からいろいろな場づくりをし、それがそれぞれのステークホルダーのメリットにもなるように考えられるはずです。

そして、上原さんもおっしゃっていたような言葉や「ボランティア」の組織づくりや準備にも、より工夫された味付けができるように思います。

さらに、中長期的には、同様に上原さんが提起されていた「アスリート育成」については、2020以降にもつなげていく基盤強化(場合により、構造改革)と、色々な意味で「マネタイズ」が必要だと考えます。(これについては、またゆっくりと書きたいと思います。)

個人的には、オリとパラの境界がなくなり、一つ一つの競技として「混ざって」できるようになればという思いがあります。そのためにも、まずは、パラスポーツ(と敢えて言いますが)一つ一つの競技が、まずは観るスポーツとして、とてもエクサイティングで楽しめるということを、より多くの人に知ってほしいと思います。そのための努力はまだまだできると思います。

そして、かんばらさんがおっしゃった「文化イベント」としての2020の質向上も、日本ならではの知恵でできるのではないでしょうか。この日、会場で初めて見せて頂いたかんばらさんの車椅子ダンスも、ダンスとして、ただただ美しかったです。

この日登壇してくださった、アスリートやパフォーマーの方々自身は、複数の競技のみならず、オリからパラ、スポーツと文化と、オンザコートからオフザコートへと、既に「BORDER」を、やすやすと超え始めていました。「する・観る・支える・そしてマネタイズする」そのどれもが境界を越えられるはずです。

そのためには、まず第一に、もっともっとパラスポーツを多くの人に知ってほしいと改めて思いました。そのために何ができるか、一個人としても、考えていきたいと思いました。

追記:私の大好きな「車椅子バスケットボール」も、5月19から20日には「天皇杯」が開催されます。

 

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