Bリーグ2シーズン目の「B.LEAGUE ALL STAR GAME 2018 Kumamoto」 は、前年の4月に甚大な震災被害を受けた熊本県で開催しました。
そのコンセプトは、「震災を決して忘れない」「熊本から日本を元気にする」。「がんばるばい熊本、がんばるばい日本」をキーワードに、熊本やその後に豪雨被害を受けた九州北部の方々に少しでも笑顔になってほしいと、開催前から「クラウドファンディング」にも取り組み、復興支援活動のための準備も進めてきました。そのような活動は、Bリーグが取り組んでいる社会課題に向き合う、社会的責任イニシアティブ「B.LEAGUE Hope」にも直結しています。オールスターに限らず、Bリーグは開幕前に起きた熊本震災に端を発し、益城町にホームアリーナがあった「熊本ヴォルターズ」自らも含め、復興支援やチャリティマッチを行っていますが、今シーズンはいよいよ本格的に、様々な社会課題や「SDGs」にも取り組み始めました。
試合前日の1月13日(土)に行われた、復興支援活動については、Bリーグホームぺージにも報告されています。オールスターに参加する「B.BLACK」と「B.WHITE」の選手たちが、熊本県益城町と福岡県朝倉市との二手に分かれ、復興支援活動に取り組みました。子供たちに遊具を届けたり、一緒にペインティングをしたり、バスケットやチアのクリニックを行ったりという活動を実施。私も「B.WHITE」の選手たちと福岡県朝倉市のほうに参加しました。訪れた久喜宮小学校では、久喜宮、松末、志波、杷木の4つの小学校が一つの小学校の仮校舎で学んでいるそうで、しかも敷地の中には仮設住宅もあり、肩を寄せ合って暮らし学んでいる子供たち一人ひとりは、きっと、思い切り遊んだり走ったりできないことが、彼らにストレスを与えているのだろうと容易に想像することができました。
しかしながら、そんな心配もどこ吹く風のように、小学生や中学生の子供たちは、大きな選手たちを観るやいなや、溢れんばかりの笑顔を見せてくれました。バスケやダンスに、思い切り汗を流したり、歌を歌ったり、本当に笑顔がいっぱいの会となりました。
私は、雪で到着が遅れた「タイラー・ストーン」のピックアップ役で、一人空港に残ったため、遅れての参加でしたが、タイラーと二人でのタクシー珍道中もよい思い出となりました。
復興支援活動での、個人的に心に残ったエピソードをひとつ。
最後に、選手たちが帰り際、体育館の窓から、子供たちが手を振って選手たちとずっとお別れをしていた時、大きな子たちの垣根に入れずに、ぽつんと床に座り込んだ女の子(おそらく一年生)に、声をかけたときの会話です。(言葉遣いが違っていたら、ごめんなさい。)
「B.BLACK」 と「B.WHITE」の選手たちの顔写真が載っているチラシを指さしながら、
私:「今日は楽しかった?」
女の子:(無言でうなづく)
私:「バスケしたの?」
女の子:(小さな声で)「うん」
私:「どの選手としたの?」
女の子:全部指さして「この人と、この人と、この人と、したと。(「と」にアクセント)」
私:「この人と、この人と、この人と、したの?! すごいねえ。楽しかった?」
女の子:(小さな声で)「うん、楽しかったと。(「と」にアクセント)」
女の子:「この人もいたと?」
私:「この人は、熊本のチームだから熊本にいったよ。熊本のお友達とバスケしたよ。こっちの白い(ユニフォームの)方の人がいたんだよ。」
女の子:(B.WHITEの選手たちを指さし)「こっちの人は、みんな、いたと?」
私:「いたよ。この人も、この人もいたよ。 でも、この人(負傷中の富樫選手)は、来られなかったんだよ。」
女の子:「どうして、来られなかったと?」
私:「この人はね、お怪我しちゃって、来られなかったの。」
女の子(ここで、もう一人ジョイン):「来られなかったと?・・・」(「と」にアクセント)
私:「うん、お怪我したからね。おうちで待ってるよ。」
女の子:「でも、来たかったと?」
私:「うん、とっても来たかったと思うよ。」
女の子:「治ったら、来られると?」
私:「うん、治ったら。。」(ちょっと言葉に詰まる)
女の子:「いつ、治ると?」
私:「もうすぐ治るよ。」
女の子:「けが治ると?」
私:「うん、治るよ。」
女の子:「来たかったと?」
私:「うん、とっても、とっても、来たかったと思うよ。」
女の子が、別の女の子に:「この人は、けがしたから、来れんかったとよ。でも、来たかったとよ。」
みんなで:「来たかったとよ。来たかったとよ。」
私:「早く治るよう、お祈りしてあげてね。」
みんなで:「祈るとよ。祈るとよ。」
私:こみ上げてくるものを、ごまかすのに、大変でした。
被災地のこんな小さな女の子に、また、教えられてしまいました。