私の生まれ故郷である滋賀県。
その地元の優良企業である、滋賀銀行様からの講演のご依頼を受けたのは、同じ大学の後輩であるTさんからの一本のお電話でした。
大学の先輩でもある同銀行の頭取とご面会する機会があり、ご挨拶をさせて頂いたのは、確かその年の2月でした。
その際には、たまたま「Bリーグ」で地元の「滋賀レイクスターズ」のスポンサーをしてくださっていたことから、私の方からお礼を申し上げたことを記憶しています。頭取は、大変興味深そうに「Bリーグ」のことや「滋賀レイクスターズ」のことのみならず、「組織改革」や「人財育成」、「女性活躍推進」から「SDGs」まで聴いてくださり、お話しが弾みました。
後日お聞きしたら、その時の話が面白かったとのことで、ご縁や機会というものは、あらゆるところからつながるものだと思いました。
Tさんからは、いくつかのテーマの案を出してほしいということでしたので、私の持ちネタかからと先方の興味などをお聴きして、少しアレンジを想定した案を3つほど出しました。
その時に一番チャレンジングだったのが、今回のテーマである「Bリーグにみる、組織改革と価値創造」でした。
私がBリーグの理事を拝命したのは、2016年9月。その時には、ほぼ大きな改革は終わっていて、新しく統合されたリーグの開幕を1年後に控えた、まさにこれからどんな「価値」や「事業」を創造していくか・・そんな時期でした。ですので、価値創造や事業創造については、間近に臨場感をもって感じ取っていましたが、組織改革そのものは、すでに下地ができた後のジョインだったからです。 とはいえ、私自身も、どんな組織改革(What)を、特に誰が(Who)どのように(How)行ったか、また、その要諦は何であったか(Why)、それが知りたくいろいろな人に聴いて回ったり、記録を読んだり、教えて頂いたりしていたので、それをまとめておくこと、またそれを伝えそこから学ぶことの価値は非常に高いと感じていました。言い換えると「Bリーグにみる、組織改革」は、知れば知るほど、その要諦や本質を深堀し分析してみればみるほど、どんな組織でも学び応用することのできるものだという確信が深まっていきました。
さらに、私がジョインしてからの「Bリーグ」という新しい「事業創造」は、まさに新しい「価値創造」でもあり、新しい「世界観づくり」へのチャレンジと試行錯誤であったとの認識から、そのことについても、自分なりに、まとめておく(まだ途上ではありますが)ことの意義を感じていました。
何より、このチャレンジングなテーマに臨んだのは、Tさんとのお話しで、「トップ(頭取)が、(失礼ながら)現状維持派、ことなかれ主義であれば、このテーマは難しいと思いますよ。頭取は改革派ですか?」という私の不躾な質問に対し、「改革派ですよ。」という即答が返ってきたからこその判断でした。 そうであるならば、頭取はもちろん、共に事業を創造され、組織づくりをされている管理職や若手バンカーの皆さんにとっても、考えるヒントになる話ができるのではないかとの確信を持つことができました。もう一つは、トップ判断でBリーグを応援してくださっている企業とはいえ、一般社員の皆さん(この時の聴講者は100名以上)に、少しでもBリーグのことを知っていただく機会になり、かつ、感謝の気持ちをお伝えできればと思ったからです。
そして、迎えた当日、100人以上の銀行マン&ウーマンの前で話をするのは初めてだと気づいたのも、後の祭り、その独特の「ピリリ」とした空気に、久しぶりの緊張感で会場の下見をし、控室へ。
大学の先輩である頭取と、なんと同級生であるという常務が、待っていてくださいました。直前に今回の講演への期待値や銀行の現況などをお聞きし、会場へ移動、伝統ある「比叡会」が始まりました。
ほんの短い頭取のあいさつに引き続き、約1時間の講演をさせて頂きました。「滋賀レイクスターズ」へのサポートのお礼から始め、前半は、Bリーグの組織改革そして事業(価値)創造について、後半は、それを私なりに分析し、要諦をまとめ、自分たちの組織にどう活かせるかの視点に落とし込んで行きました。 Bリーグの世界観を観てもらうための動画も無事再生でき、最後は、Bリーグやレイクスへの引き続きの応援をお願いして、終わらせていただきました。
このような話が、聴講者の皆さん、お一人おひとりの立場でどのように心に響き、自分ゴトにして頂けたか、講演だけではなかなか知る由もありません。最近はこのような機会を頂くことも増えましたが、その際、私は必ず講演の後のパーティ等にも出席するようにしています。この日も、その後の皆さんとの懇親パーティ、そして二次会の最後まで、一参加者としてご一緒させていただきました。お酒の入ったところでの本音で、その企業の組織文化も肌で感じることができますし、何より本音を聴くのが楽しく、そこでのフィードバックがとても自分にとっても有意義なのです。この日も、銀行ならではの(?)最高潮の盛り上がりのなか、皆さんの生々しい感想をお聴きすることができました。大きな組織のかじ取りと個々の店舗運営のハザマにおられる支店長さん、たまたま総合企画部でまさに組織改革を任されておられる室長さん、システム部のTさん、若手で働くママの女性バンカー、そんな皆さんが、それぞれの立場で腹落ちしたところ、もっと知りたかったこと、素朴な疑問など、聴かせてくださいました。
何より、私の中での「銀行員」のイメージ、お硬い「銀行の頭取」のイメージが、良い意味で覆りました。宴席とはいえ、上や下に「忖度」なしで風通しのよい会話が飛び交っているのが、何とも小気味良く感じられました。きっと、頭取が進めておられる「改革」も、実を結ぶと信じられる、そんな私の銀行マン&ウーマンに囲まれた貴重な、かつ、楽しいアウェイ体験でした。