2021/04/01

コロナ禍における学びの場  ~鳥取大学医学部付属病院における「医工連携」人財育成プログラムの取り組み その1~

産学連携プログラムにおける人財育成プロジェクト

2020~21年にかけて、コロナ禍で社会は大きく変貌を遂げ、事業環境は様々な見直しを余儀なくされました。その中でも、私が携わっている人財育成や組織開発の分野は、当事者の環境やマネジメントの考え方により、その取り組みに大きな差が出たといえるでしょう。

当初はお客様や自分たちも含めた環境がどう変わっていくのか不透明なことも多く、私自身も手探りではありましたが、ある時から「できる限り学ぶことを止めない、学ぶ環境を提供し続ける努力と工夫をし、そのノウハウを身につけましょう。それが強みになるはずです。」と伝えてきました。お客様には、行政の指示に従い在宅勤務やテレワークを推進したり、時に、感染者や濃厚接触者が出たりして、一時的に打合せの延期や研修の見送りが行われたこともありました。しかしながら「学びの場を提供し続ける」ことの大切さを理解され、早々にその努力と工夫をする、「どうしたらできるか」を共に考え実践して頂けるようになりました。

ともすると、「やらない」というリスク回避を選びがちな状況のなか、少なくとも我々が上記を伝え、サポートしてきたお客様や事業者は、withコロナやafterコロナを想定し、「オンラインでもコミュニケーションや学びの場は作れる」から、「オンラインならではのメリットを活かし、よりチャンスを広げよう」という発想にいち早く切り替えて頂いたように思います。

それには、お客様自身が人財育成を先送りすることの中長期的なリスク、afterコロナに向けての柔軟な組織づくりの必要性を理解し、「むしろ、多少の失敗をすることさえ、良い意味で身になります。経験値を積んでおきましょう。」という我々の考えに耳を貸してくださったことが大きかったように思います。

 

そのうちの一つが、鳥取大学医学部付属病院の先生方とのプロジェクトでした。鳥大の先生方とは、2017年から足かけ5年間、共に人財育成プログラムを開発し、毎年、開発と改良を重ねた「医工連携の産官(金)学連携」プログラムの開催を継続してきました。本プロジェクトは、鳥大医学部が2013年に文部科学省の「未来医療研究人材養成拠点形成事業」の採択を受けたことに遡ります。医療現場での課題に対し,既成概念にとらわれない新たな医療機器開発ができる人財の育成のために、医学系研究科医学専攻博士課程に「革新的未来医療創造コース」を設置されていました。私が参画させていただいたのは、その前に大阪大学で類似の産学連携プロジェクトに参画しており、その際のシンポジウムの登壇を聴いてくださった鳥大の先生からその後2016年にご相談を受けたことがきっかけでした。

初の緊急事態宣言が出動された直後の2020年4月。3年次目である今年度は、果たしてどうしたものか。。といったミーティングからスタートしました。当初はハイブリッド案なども出ましたが、「思い切って完全オンラインでやってみたらどうですか?」との私からのやや無謀ともいえる振りに応じて下さり、元々鳥大が標榜している「アクションラーニング」「フィールドワーク」を取り入れた人財育成コースを、見事完遂されました。その原動力はやはり「学びの場を止めない。どんな工夫をしたらできるかを考える。」という先生方の強い意思とチャレンジする意欲と情熱だったと思います。

本プロジェクトは、本質的な人財開発の考え方の基本に忠実でありながらも、鳥大らしさを十二分に取り込んだ、医工連携の個性あるプログラムとして発展してきました。今コロナ禍での実施に遡り、記録も含めて、本プロジェクトの開発当初からの推移と展開について、可能な範囲で記してみたいと思います。

To be Continued …

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