インターンシップ中の冨田耕平です。
今回は、以前のコラムの続きを書きたいと思います。
このインターンシップ中に、何度かサイボウズ株式会社の中村龍太さんを訪問させて頂く機会を頂き、「働き方や看護の現場」についてディスカッションさせていただきました。(以前のコラムはこちら)。その中で、臨床現場の看護師の課題を解決するために、ICTをどう活用出来るかというテーマがありました。
私は、事前に自分の研究室の看護師経験者の方々とも話しながら、考え得る課題を洗い出しました。その中から、ICTによって解決できるものを抽出し、その解決方法を考え、中村さんに提案をしてみました。選んだ課題の一つが、看護師の忙しさです。これについて、看護師の業務や行動をICTを使うことで解決できるという提案でした。
すると中村さんから「看護師さんが忙しくなくなることが最終的なゴールなの?」という指摘がありました。想定していなかった指摘でした。「最終的なゴールってなんだっけ?」となってしまったのです。なぜそんな指摘をされたのか、なぜ最終的なゴールというキーワードが出たのか。中村さんの指摘の裏にあったのは、「課題」を正しく認識せよということでした。
「課題」とはそれ単体で存在するものではありません。最終的なゴール、つまり「理想」がまず最初にあり、次に「現実」があります。この「理想」と「現実」を対比した時に生まれるギャップがすなわち「課題」なのです。私の提案では「理想」が欠けていて、看護師が忙しいという「現実」がそのまま「課題」になっていました。「理想」の置き方によっては忙しさは必ずしも「課題」にはならないのです。
では看護においてなにが「理想」なのか。それは誰にとっての「理想」なのか。この答えはすぐに出てくるものではありません。課題を正しく認識するまでの過程で一番難しいのは「理想」を考えることだと思います。そして「理想」について考えるべく、竹内さんの協力のもと、インターンシップの最終仕上げとして、この期間中にお会いした方々に集まって頂き、「理想の看護について考える」ワークショップを実施することになりました。その様子についてもまたコラムで書きたいと思います。
【今回の気づきポイント】
・正しく課題を認識するためには、まず「理想」を描き、次に「現実」を捉える。理想と現実を対比したときに生まれるギャップが「課題」であり、全体を構造化して認識する必要がある。