インターンシップ中の大阪大学博士課程履修生・冨田耕平です。早いもので,8月末のインターンシップ終了まであと数週間となりました。先日、(株)TM Futureが「『クレド・行動指針』開発プロジェクト」のお手伝いをしている流通業C社を訪問させて頂きました。
C社は西日本を中心に展開する老舗メガネチェーンです。私の実家のある大阪にも店舗があり、小さい頃にテレビCMを見た記憶があります。その頃とは環境も変わり、今では安さを売りにしたものも含めて多数のメガネチェーンがあり、競争は厳しいものになっています。
競争で生き残るためには、お客様に選んでもらう必要があります。さらに言えば、ブランドに共感してもらう必要があります。
このプロジェクトのパートナーである「えとじや」さんの岡本晋介さんによると、小売業界のマーケティング・コミュニケーションでは、テレビCMや店舗デザインやプロモーションなど「エクスターナル・ブランディング」で伝わるブランドイメージは1~2割程度で、8割以上はそこで働く一人ひとりの接客行動「インターナル・ブランディング」によってしか伝わらないのだそうです。つまり、お客様と店舗スタッフとのコミュニケーションによってブランドが形作られるのです。
そして厳しい競争にあるメガネチェーン業界において、C社の「リ・ブランディング」を行い、その浸透プロセスとして「クレド・行動指針」の開発プロジェクトが始動しました。(詳細はこちら)
今回、インターンシップ中に私が伺ったのは、クレド完成後の店舗説明会でした。説明会は担当取締役の方と「えとじや」の岡本さんがペアで全国の全店舗を行脚して、すべてのスタッフに直接説明をしていくというものでした。(すごい!) 新しいものを導入した時には、それだけ「一人ひとりに経営幹部の口から直接伝える」ということを大切にしているということは、大きな驚きでした。
さて、クレドの内容自体はスタッフの一人ひとりにとって特段の目新しさはなかったかもしれません。なぜなら内容の多くが、多かれ少なかれ普段から実践されていることだったからです。(同様のプロジェクトには、本当に組織文化や接客を変革しなければならないケースもあるそうですが、C社ではこれまで蓄積された文化を継承しつつ、それをよりブランドとして高めていく方向性になったと竹内さんから教えてもらいました。)しかし、この企業理念や各店舗独自の行動指針によって行われていた接客の方向性を「クレド」として統一し、これまでの実践を文章として「見える化」したことには大きな意義があると思いました。
C社の接客に携わる方々を一つのチームとであると考えると、チームのレベルアップのためには、メンバーのレベルアップが必要です。メンバーにはベテランも新人もおり、それぞれに得手、不得手があります。メンバーのレベルアップのためには、ベテランの技術や知識、それぞれがもつ得意なこと、チャレンジしていることなどを、一個人の中にとどめ囲い込むことなく、「見える化」して「共有」することが必要です。各人の経験をチームとして蓄積するのです。これは流通業であるC社に限らず、私の研究領域である看護師の世界でも他の業界でもいえることだと思いました。
【今回の気づきポイント】
・チームのレベルアップのためには、メンバーの知識や技術などを「見える化」し、「共有」し、チームとして蓄積することが大変重要である。