インターンシップ中の冨田耕平です。
(株)TM Futureがお手伝いをしている製造業A社でのプロジェクトにお邪魔しました。
A社では、まず第一フェーズとして、まさにタレントマネジメント戦略である「次の経営幹部候補の育成」を目的として、「経営方針からひとつのテーマを選び、その実現を図るための施策を策定し、経営会議(取締役会)に提言する。」という目標のもとプロジェクトが進められていました。第一フェーズは6か月で予定通り終了し、続く第二フェーズとして提言した施策を具体的に実行に移していくというプロジェクトが進んでいました。そして、本年5月から、第三フェーズとして新たなプロジェクトが始まっています。
今回のプロジェクトはA社の現経営陣と経営幹部候補の方々で中期計画書を立案することを目標としています。その準備段階として、中期計画書立案のための基礎力を養成するプログラムが進行しています。
ビジネス戦略に関しては私は全く門外漢ですので、私も皆さんと一緒に参加し、また参加している皆さんやA社について一歩置いてどうやって人財育成を進めていくのかということも学んでいます。
最初に思ったのは、広い視野で「俯瞰的な思考」に至る難しさと価値についてです。
プロジェクトでは中期計画書立案のために、自部署ではなく全社的に事業を考える必要があります。しかし、参加者の方々はこれまでそういった経験をされてきた方ばかりではなく、部署を超えて俯瞰的に会社全体のことを考えるということに苦戦されていました。初めて経験する思考過程はそう簡単にできるものではないのだと思いました。しかし、会社全体のことを考えるということは、これまで考える必要のなかった他の部署のことを考えるということです。これによって新たな価値が生まれるかもしれないとも思いました。
私の所属している大阪大学の「超域プログラム」でも物事を俯瞰的に考えられるようになることをひとつの目標としています。自分の研究している狭い専門分野だけでなく、他にも目を向けることで他分野に学び、柔軟な思考を身につけることで、自分の研究の新たな可能性に気づくことができると考えられるからです。
A社での研修に参加したことで、私は、この思考の重要性は研究者だけにとどまらず、企業でも同様だと思いました。他部署に学び、自分の属する部署の新たな可能性に気づくことでこそ生み出せる価値があると思います。「俯瞰的思考」は簡単に身につけられるものではありませんが、一方で訓練によって成長できるスキルでもあります。部門横断的な活動や流動的な人財交流、主体的で意識的に考え続けること等によって、初めてできることだと思います。私もまだまだ道半ばです。
次に、「気づく力」についてです。
誰かを育てるにも、自分を育てるにもたくさんの要素が必要ですが、基本のところは「成功体験→気づき」です。何かができるようになったという単なる成功体験だけでは十分ではありません。今までできなかったことができるようになり、できるようになったことを自覚し(成功体験)、どういうスキルが身についたからできるようになったのかを考え(気づき)、具体的な経験からスキルを抽象化し、自分の引き出しにしまう、というステップが必要です。「人財育成」のひとつの方法はこのステップを進めるように後押ししていくことです。
そんな私も人財育成のスキルを学ぶ前に、この「気づく力」をまだまだ鍛えていかなければなりません。そのためインターンシップ期間中は「今日の気づき」を書き出して、竹内さんと共有し、フィードバックをもらっています。
というわけで、私が書かせてもらうコラムでは「今回の気づきポイント」として学んだことを簡単にまとめて締めたいと思います。
【今回の気づきポイント】
- 「俯瞰的思考」を身に付けるのは難しいが、意識的な訓練でできるようになる。そして、新たな価値を生み出す可能性を秘めている。
- 人の成長には「気づく力」が必要で、人財育成とは成功体験とその気づきを後押しすることである。