唐突ですが、この言葉が好きです。
独立をするにあたり、この言葉とずっと向き合ってきました。
私に「プロフェッショナル」ということを身をもって教えて下さった一人が、前回のコラムで、取り上げさせて頂いた、「えとじや」の岡本晋介さんです。
岡本さんと初めて一緒に仕事をしたのは、プロジェクトでもご紹介中の「大阪大学超域イノベーション博士課程」の評価システム「超域コンパス」の開発。
彼は、マーケティングの専門家として、私は人財(育成、評価)の専門家として、そのプロジェクトに呼ばれました。彼は、元々「超域」のブランディングを相談に乗っていて、もちろんそちらが本業。(おそらく、大学教育の一つのプログラムに単品でマーケティングを取り入れた例はそうないように思います。)
その、マーケティングのプロフェッショナルである岡本さんが、なぜ「人財評価システム」である「超域コンパス」の開発に関わってくださったか? 正直言って、彼なしには「コンパス」はあのような完成度になりませんでした。
その理由のひとつは「言語化」の力です。
育成すべき人財像やその人財が持つべきスキルというものは、そもそも曖昧にされがちです。しかしながら、漠然とした人財像やスキルセットでは、人を評価することやましてや「超域」で求められていた「選抜」をすることはできません。「人が人を評価することには限界がある」ということを大前提にしながらも、公平性、客観性、透明性を担保するためには、どうしたって言語化しなければなりませんでした。
その言語化に、大きな力と知恵を与え、私たちが形式知化し始めた人財像の表現への長い道のりを一緒に頭を悩ませ、ブラッシュアップをしてくださったのが岡本さんでした。
彼の最新のブログには、「マーケティングは、お客さんの行動や考えに疑問を持ち、その理由や動機、そして何より、まだことばになっていない真実=インサイトを発見することが、すべての始まりというか原動力」とあります。
彼の言葉への研ぎ澄まされた感覚が、(目的は異なるものの)インサイトを言語化していくマーケティングのプロフェッショナルとしての知恵が、多くちりばめられたものとなって、「超域コンパス」の完成度をぐっとあげてくださいました。
このプロジェクトは、大学教育に人物評価という柱を取り入れるという初の試みがチャレンジングであったことゆえの達成感もさることながら、「プロフェッショナリティ」の高い人たちが集まってクオリティの高い仕事をすることの爽快感や達成感を味合せてくれました。そうして、この頃、私に独立への思いが芽生え始めていました。
「会社の大小や知名度に関わらず、「プロフェッショナル」として自分の専門領域を磨いていれば、いい仕事ができる。逆にプロフェッショナリティが高くなければ、二度とお呼びがかからない。そんな仕事の仕方はとても気持ちがいいものに違いない。」
岡本さんは、私にとって最も眩しい「プロフェッショナル」のお一人なのです。