(株)TM Future代表の竹内が行なっている「メンタリングによるインタビュー」。働く様々な方々の、強みや「持ち味」に気づくための、「内省」を支援するために、行っています。人は、誰もが潜在的な能力を持ち、そのことに気づき、よりその方の「持ち味」を発揮した仕事ができれば、幸せだと考えています。
そのような、「メンタリングによるインタビュー」。これを受けた方々や、周りで聴いていた方々から、意外にも共通に受けた質問がありました。
「インタビューのなかで、『ここ』で掘り下げるかなあと思ったところで、敢えて掘り下げなかったことがありましたが、それはどうしてだったんですか?」
「ここ」とは、その方の経験のなかでも、ネガティブなお話が出たところでした。例えば、挫折の経験、コンプレックス、後ろめたさや失敗経験など「苦い思い出」にあたる部分です。
何人かの方からご質問を受けましたので、改めてこの欄で「『インタビューによるメンタリング』でネガティブな話題を掘り下げない理由」について、ご説明しておきます。
もちろん、人の原動力、モチベーションの中には、ネガティブな経験(悲しい、口惜しい、残念)などが「反動」となって、頑張れる、負けない、というものがあることは、誰しもあり得ることです。
ただ、その「反動」という原動力は、その人にとって一時的なエネルギーであることが多いと思っています。むしろ「継続的な」原動力やモチベーションは、ポジティブなもの(好きなもののために頑張る、達成したい夢や志のために継続できる、あの人のために頑張る等々)が、そのエネルギー源であるように思います。
従って、インタビューの際には、ネガティブなものからの反動や原動力を導き出すよりは、継続的なモチベーションになり得るポジティブなものやエネルギー源を引き出した方が良いと考えています。
これは、その人の性格やその背景にもよりますので一概には言えませんが、長い間の私たちの経験則です。もちろん、人によっては、ある体験や思いを「吐露する」ことによって何か心の重荷のようなものから解放され、その人の心が解き放たれる場合もあります。そのようなケースでは「ネックになっているもの、その人の行動を妨げている心の重荷を解き放つ」ために敢えてネガティブなお話を吐露して頂くこともあります。ですが、それは、対話のキャッチボールを通して、かなりの確信がもてる場合に限り、しかも慎重に行うことが大切です。
もちろん、「苦い経験」「冷や汗・脂汗」の「失敗経験から学ぶ」ということは、別の次元の話であり、「学び」のために、苦い経験を振り返るということは、似て非なる「人の成長」や「スキルの獲得」のためには、必要なことです。(そちらについては、後日、ゆっくり触れましょう。)
「メンタリング」に大切なことは、やはり、その人のポジティブな側面から「継続的な」モチベーションの源泉や、今後も継続して大事にしていくと意味があることを、引き出すことだと考えています。
写真は、京都「美山」で撮影した、春の訪れです。