2017/04/30

「みらいプロジェクト」から「中期経営計画」策定&実行&PDCAプロジェクトへ。 経営幹部育成は「コミット」できる人財の育成。

製造業A社「経営幹部候補の育成プロジェクト」

この「プロジェクト」記事欄の初回に取り上げ、その後も継続的にご報告してきた、製造業A社の「経営幹部候補育成プロジェクト」。少し時間が空いてしまったので、改めて、その後の経過をご報告したいと思います。

2014年から始まったA社へのご支援。私たち(株)TM Futureのミッションは、若い社長(40代前半)を取り巻く経営陣(当時、全員60代)の世代交代を睨み、その次の時代のA社を作る、経営幹部候補の方々を育成すること。2014年の最初のプロジェクト(第一フェーズ)が、「経営方針を具現化する具体的施策を立案し、経営会議に提言する」ことでした。
そして、今日まで、下記のようなプロジェクトを進めてきました。

■2014年度上期 「各グループが、経営方針からひとつのテーマを選び、その実現を図るための施策を策定し、経営会議(取締役会)に提言する。」(名付けて、「みらいプロジェクト」)

■2014年度下期 「みらいプロジェクト」で立案し、経営会議で承認された、具体的施策のプロトタイプの実行。

■2015年度上期 下期に「中期経営計画」を自ら作成することを視野に入れ、その作成手法の習得のための「中期経営計画策定のための基礎力養成」トレーニング。並行して、経営幹部候補のメンタリングインタビュー及び、社長と幹部候補のコミュニケーション(面談)支援。

■2015年度下期 各部門からの代表者による「中期経営計画」策定プロジェクト。

■2016年度通年 「中期経営計画」の実行初年度として、プラン実行の進捗管理及び、PDCAの実行。並行して、社長へのエグゼクティブコーチング。

思えば、2014年当初のインタビューでは、「会社全体のことを考えたことなどほとんどない」「他部署に関心を持ったことはないし、他部署の人がどんなことを考えているのかわからない」「危機感はあるものの何をどうしていいかわからない」という、正直に言うと「経営幹部候補」というよりも「言われたことを忠実にやる真面目な管理職」だった皆さん。プロジェクトでのグループディスカッションも、「議論」に慣れていないが故の空回りばかりで意見がまとまらず、いつも持ち帰りの宿題になっていました。

その「産みの苦しみ」から、さらに次の年は、上記のような「中期経営計画」すなわち、事業環境の分析に基づく事業ドメインの設定や、設定した事業領域における事業戦略の策定、損益計画、収支計画、アクションプランを策定するという、(彼らにはこれまで経験のない)自らの事業の未来を、論理的かつ戦略的にプランニングする、そして、意図的に新しい事業を生み出すことにチャレンジしていくことになりました。

そして、今年度は、「中期経営計画」の実行初年度として、プランの実行と(これも残念ながら今までには経験のない)PDCAを確実に回すということに挑みました。

さらに付け加えると、中計初年度の年初には、皆さんの策定した計画に基づきつつ、社長の判断による大胆な組織改革も行われ、2014~15年の2年間の本プロジェクトで(若干メンバは入れ替わりましたが)、確実に成長した方、グループやチームに貢献した方の抜擢人事も行われました。このタイミングで、新しい役員も生まれ、A社にとって「初の女性の経営企画部長」が誕生したことも嬉しい成果です。(実際、彼女が最も成長し、グループにも貢献したのです。)

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2014年から15年までは、「施策」や「計画」を策定するということを経験し、文字通り、アウトプットを「産み」出すことの、苦労と喜びを味わった彼ら。一度、プロジェクトに弛みがでたときに、日ごろ、再生案件を手掛けることの多い(弊社パートナーの)小野から「自分の会社のプランを自分たちで作れることがいかに恵まれていることか」という話もし、引き締めたことは、懐かしい記憶です。

そして、2016年度は、次のステップとして、自分たちが作った(新しい事業を作るという)プランを実行する、そしてPDCAを確実に回すこと。簡単なようで、そのことがいかに意識的にやらねばできないことか、それを学んだようです。毎月のレビュー会議で進捗を問われ、課題や原因分析から対策を問われた彼らは、恐らくこんな厳しい要求をされるのも、初めてだったと思います。

自ら、事業を生み出すプランをつくり、それを確実に形にしていくこと。すなわち、自分の言ったことに「コミットする」こと、それが自分たちの事業を成長させ、A社を成長させる基盤となっていきます。これまでは、先代の社長や経営陣が作られた環境で言われた通りにやっていれば間違いはなかった事業が、大きく環境が変わり、打ち手を変える必要がある以上、前に進まねばなりません。それだけ、この計画実行への「コミットメント」が、文字通りA社の「未来」を創ることにほかなりません。

「経営幹部育成」に話を戻すと、「事業プランや施策を、戦略的に作れる」ことももちろん必要ですが、いかにそのプランに(スキルにおいても、マインドにおいても、実行力においても)「コミットできるか」、そういった人財を育てられるかということそのものであると、私は思います。

2015-03-31 11.11.21

4月は、A社にとって年度末。今週は、事業部ごとに、1年間の「中期経営計画」の実行とPDCAの進捗と結果についてまとめ、来年度の事業計画(見直し含む)案を発表して頂きました。明らかに皆さんの「コミットメント」が上がってきたことがよくわかります。私たち(株)TM Futureも、この1年はつきっ切りでと毎回の「PDCA」チェックをご支援しましたが、5月からの新年度は、より自走できるような体制に移行します。それには、自らのチェック機構をより高めていかねばなりません。最早、「言われたことを忠実にやる真面目な管理職」から、より「自律的に事業を牽引するチーム」への脱皮を図ることが、求められます。

そして、次のステージへ。次は、いよいよ「組織開発」という新たなテーマに取り組んでいきます。「人と組織」にフォーカスした、より、覚悟と「コミット」の高さが求められるプロジェクトに歩を進めていきます。

(写真は、この時期(4月~5月)の広島市内で撮影したものです。)

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